前野はアマとの出会いを半ば諦めて、メールを返信した。

テレビではCM明けのトークが再開されていた。今まさにアマがテレビに映っている。
生放送ではないが、現在進行形でアマとメールをしていることを不思議に感じた。

「アマチの自宅は2DKのアパートで、門に鍵は無いですよ」

「ええー! 危ないよお! 不審者に侵入されたらどうするの?」

「大丈夫ッスよ! あっしが守りやすから」

テレビでアマ、ホケキョウ、マチの順にトークが進んだ。

「そ、そうだね……用心棒がいるから安心だね。引越しとかは考えてないの?」

「う~ん……でも、お金かかっちゃうしな~。そうだ! ホケキョウさんだして下さいよ」

ホーホケキョウにアマが手を合わせて目を潤ませた。

「なーに言っちゃってんの?! 僕より稼いでいるくせに」

「そんなことないッス。まだまだこれからッスよ我々は、なぁー?」

マチが不気味な笑みを浮かべて、アマに問い掛けた。

「うん。それに今マチとの二人暮らしはすごく楽しいし……独りになるのは寂しいなあ」

「だから僕が一緒に住んであげるから」

「何言ってんだ、コラッ! アマは渡さねえぞっ!!」

マチが再びゲストの胸座を掴んだ。

「ヒィーーー! 勘弁して……っていうか僕ゲストよ。もっと大切にしてえっ! ホーーー!!」

ホーホケキョウがオカマ口調で叫んだ。
場内が爆笑の渦に包まれて、エンドロールが流れる。

(これが、福ちゃんという人物がメールでGOサインを出した《プライベート会話》か。アマとマチが一緒に住んでいたとは、初耳だ。門に鍵が無いのも意外だな。始めは安アパートで共同生活するコンビは多いけど、ブレイク後も尚維持しているとは……)

前野はアマの携帯を見た。
返信が遅いなと思い、センター問合せをすると一件届いていた。